30代に入ってから、ふと鏡に映る自分の顔に「影」が気になるようになった。20代のころには気づかなかった頬のこけ、フェイスラインのゆるみ、そして夕方になると現れるほうれい線。メイクしているのに、なんだか疲れて見える――そんな日が増えた。
特に写真に写った自分を見ると、その影がくっきりと見えて、実年齢よりも老けて見えてしまう気がする。光の加減じゃない、これは“骨格の変化”と“肌のハリの低下”からくる影。ファンデーションを塗るだけではカバーできない「立体の悩み」だと、ようやく気づいた。
そんなとき、頼れるのがシェーディング。けれど、30代になってからのシェーディングは、“盛る”のではなく“整える”という意識に変わった。若いころのようにただ鼻筋を強調したり輪郭を削るように入れるのではなく、顔全体を柔らかく、自然に見せることが大切。骨ばって見える部分には影を入れず、むしろ“消す”ようにハイライトとバランスをとる。
フェイスラインには、暗すぎない影色をブラシでふわりとのせて、自然な引き締め感を演出。こめかみや頬のくぼみにも、さりげなくニュアンスを入れるだけで、肌がふっくらして見える。加減が重要。やりすぎるとかえって老けて見えるから、“影を消すシェーディング”は、ナチュラルさが鍵。
30代のメイクは、自分を隠すのではなく「いまの自分にフィットさせる」ためのもの。年齢に合った影の扱い方がわかると、不思議と気持ちにも余裕ができる。ちゃんと手をかけた分だけ、鏡に映る自分の顔がふわっと柔らかくなる。その変化がうれしくて、また明日も、少しだけ丁寧にメイクをしたくなる。